2006年 新潟大会での自由集会

第53回日本生態学会新潟大会における生理生態自由集会
「植物の生理生態:葉の一生と光合成

2006年3月25日 18:00-20:00 朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)Room B にて


講演者:

・常緑広葉樹の光合成システムの生態発生学的解析  宮澤 真一(University of Victoria)

・栄養塩供給に同調する葉の消長:熱帯山地林の報告  野村 尚史(京都大学大学院人間環境学研究科)

・葉の枯死は個体の炭素獲得を増加させるか?  及川 真平(東北大学大学院生命科学研究科)

・個体の窒素・炭素バランスや環境ストレスが葉の老化に及ぼす影響  小野 清美(北海道大学低温科学研究所)


概要 :

葉は、樹冠のどんな場所に、どの時期から、どのくらいの期間にわたって付いているのだろうか?一枚の葉が経験する外部環境は季節や、周辺の動植物との関係、さらには自己の成長によっても変化する。こうした外部環境の変化は、個葉の光合成生産、ひいては個体の成長速度を左右する。このため、外部環境に対して、展葉と落葉を行う場所とタイミングを植物が能動的に調節している必要がある。

生理生態学では、葉の消長の調節メカニズムを明らかにするために光合成能力や炭素、 窒素経済の観点から研究が行われてきた。本集会では、葉の展葉と落葉のタイミングの決定に対する、光や、土壌のリン、窒素条件といった外部環境、炭素や窒素バランスといった植物の内的環境の影響を明らかにした最新の研究を、 4 人の演者に紹介していただく。

葉寿命の異なる草本・落葉樹と常緑樹との間には葉の成熟過程にどのような違いがあるのか?季節のない熱帯林では、落葉はどのように起こるのか?古い葉をいつまでもつけておくことは個体の生育に有利なのか?光と窒素環境は葉の老化にどのような影響があるのか?これらの疑問への答えを通して、葉の成熟と老化を決定する至近要因から究極要因まで、幅広い議論を行いたい。


企画者: ☆齋藤隆実☆種子田 春彦☆小口 理一