第56回 日本生態学会盛岡大会における生理生態自由集会のお知らせ

2009年3月17日(火)17:15−19:15に日本生態学会H会場において以下の内容で自由集会を行います。


タイトル:
 開花・結実の生理生態〜炭素と窒素の分配をめぐって〜


趣旨:
 植物の種子生産量や繁殖成功と、外部環境や植物自身の生活型との関係は、個体の適応度を理解する上で、解明されるべき重要なテーマである。そしてこうした関係は、樹木で観察される、マスティング現象や熱帯雨林での一斉開花現象など、興味深い現象の背景でもあると考えられ、その研究の意義は大きい。
 本集会では植物の繁殖成功を決定する資源制限に着目し、冷温帯から熱帯にかけて繁殖器官への資源供給を調べた研究を取り上げたい。繁殖器官へ分配される資源のうち、窒素と炭水化物は特に重要である。炭水化物についてはさらに個体内の貯蔵物質と繁殖期間中の光合成産物に分別できる。これらの資源の動態分析に基づき、繁殖の制限要因について評価をおこなった研究を通じて、繁殖器官への物質分配の生理生態学的な仕組みを紹介したい。
 生活型や外部環境の違うさまざまな植物で得られた、個々の資源による繁殖制限の結果を比較するとともに、繁殖投資について生理的メカニズム(至近要因)と適応戦略(究極要因)の両面から幅広い議論ができるものと考える。


講演:
・種子への窒素投資と種子生産              
 衣笠利彦(鳥取大・農)

・冷温帯落葉広葉樹林における林床植物の資源利用特性:光環境の季節性が作り出す炭素分配の多様性  
 井田崇・工藤岳(北大地球環境)

・冷温帯落葉広葉樹種ハクウンボクの豊作年における繁殖器官への炭素資源分配特性
 宮崎祐子(奈良県森技セ)、日浦 勉(北大・苫小牧研究林)、船田 良(東京農工大

・フタバガキ科巨大高木のマスティングのメカニズム
 市栄智明(高知大学農学部

講演要旨へのリンク
http://d.hatena.ne.jp/physiolecol/20090225/1235548667


コメンテーター:
 工藤岳(北大・地球環境)、佐竹暁子(北大・環境科学)


企画者:
 谷友和 (東大日光植物園) 、宮沢良行 (九大・熱帯農学研セ)、小口理一 (東北大・院・ 生命科学) 、鍋嶋絵里 (東京農工大)