盛岡大会自由集会要旨集

「種子への窒素投資と種子生産」
 衣笠利彦(鳥取大・農)

種子生産量は、生態学的には個体の適応度に、農学的には食料生産に影響する重要なパラメータであるが、その決定要因についてはよくわかっていない。演者らは過去の研究で、高CO2条件下での生育によって個体成長が促進されるものの種子生産量が増加しないという結果を得、その際に種子窒素濃度が変化していなかったことから、種子生産量が種子への窒素投資量によって決定されていると考えた(Kinugasa et al. 2003)。同様の結果は、11種の一年草を用いた実験でも確認されており、窒素による種子生産量の律速が強く示唆されている(Miyagi et al. 2007)。種子生産量が窒素によって律速されている場合、外部環境の変化にともなう種子生産量の変化は、個体の窒素獲得と個体内の窒素分配の変化の結果として解析できるはずである。そこで、種子への窒素投資量を(1)繁殖期間中の窒素獲得速度、(2)繁殖期間の長さ、(3)種子への窒素分配割合の3つの要素の積として表し、それを種子窒素濃度で除することで種子生産量を表した。

種子生産量 = 繁殖期間中の窒素獲得速度×繁殖期間の長さ×種子への窒素分配割合/種子窒素濃度

この式を、実験的に窒素施肥条件を操作して栽培したダイズに適用し、種子生産量の変化が、種子への窒素投資量を決定する要素のどのような変化の結果であるのかを解析した。さらに繁殖期間中の窒素獲得速度を、窒素吸収速度と窒素固定速度の和として解析し、種子生産量決定に対する窒素固定の寄与を評価した。
ダイズの根粒着生品種(Enrei)と非着生系統(En1282)を、毎週一定量液肥を施用して栽培した。開花後、(1)同量の施肥を継続する区、(2)窒素施肥量を1/10に減少させる区、(3)10倍に増加させる区を設定した。定期的に刈り取りを行い、各器官の乾燥重量、窒素量を測定した。また植物体の窒素安定同位体比を測定し、窒素固定由来の窒素量を推定した。
Enreiでは、窒素施肥量の減少にともない根からの窒素吸収速度が低下したため、窒素固定への依存度が大きく上昇したものの個体の窒素獲得速度は低下した。繁殖期間の長さは窒素施肥量の減少にともない若干短くなったが種子への窒素分配割合には変化がなく、その結果、種子への窒素投資量は窒素施肥量の減少とともに低下した。種子窒素濃度は窒素施肥量にかかわらずほぼ一定であったため、種子生産量が減少した。一方En1282では、窒素施肥量の減少にともなって窒素獲得速度が低下したが、その低下は窒素固定による補償がないためEnreiより大きかった。また繁殖期間の長さは短くなった。窒素施肥量の減少にともなって種子への窒素分配割合が増加したものの、種子への窒素投資量は減少し、その結果種子生産量も減少した。このとき種子窒素濃度は低下していた。
以上の結果から、窒素固定能のあるダイズにおいて、種子生産量が種子への窒素投資量によって決定されている可能性が支持された。また窒素吸収量の低下による種子への窒素投資量の減少が、窒素固定によって一部補償されることが明らかになった。また窒素固定による窒素獲得の補償は、種子生産にともなう栄養器官からの窒素回収の抑制や、高い種子窒素濃度の維持に貢献していると考えられた。

Kinugasa T, Hikosaka K, Hirose T. 2003. Oecologia 137(1): 1-9.
Miyagi K-M, Kinugasa T, Hikosaka K, Hirose T. 2007. Global Change Biology 13(10): 2161-2170.



「冷温帯落葉広葉樹林における林床植物の資源利用特性:光環境の季節性が作り出す炭素分配の多様性」
 井田崇・工藤岳(北大地球環境)

冷温帯落葉広葉樹林内では,初夏に林冠木の展葉が始まると林床に届く光が急激に減少する.こうした光環境の強い季節性は林床植物の繁殖成功に,季節ごとの明瞭なパターンを引き起こす(フェノロジカルシンドローム: Kudo et al., 2008);1)林冠閉鎖前に繁殖活動の大部分を終える「春咲き植物」は高い光合成能力と種子生産能力を持つ,2)林冠閉鎖進行中に開花する「初夏咲き植物」は低い光合成能力と種子生産能力を持つ,3)林冠閉鎖後に開花し生育期間の大部分を暗環境で過ごす「夏咲き植物」は低い光合成能力を持つが,種子生産能力は高い.しかし,フェノロジカルシンドロームにおいて,林床植物群集の資源利用特性と繁殖との間にある生理的な関係は不明である.本発表では,春咲き植物(エンレイソウ: Ida & Kudo, 2008),初夏咲き植物(コンロンソウ,ユキザサ: Ida & Kudo, 2009),夏咲き植物(ミミコウモリ: Ida & Kudo, submitted)における生産,資源分配,そして繁殖パターンに関する研究を紹介する.そして,落葉広葉樹林生態系における林冠木が作り出す光環境の季節性と林床植物の応答を結びつけ,植物の資源利用特性を群集レベルで明らかにしたい.
 各フェノロジカルグループの林床植物には,光環境の季節変動に応答した様々な資源利用特性が存在し,その資源利用形態が繁殖活性にも作用していた.春咲き植物は,高い光合成速度を維持するが,葉面積が小さい.炭素固定は林冠閉鎖前の強光環境を効率的に利用していた.地下部に貯蔵されている資源は花を含む当年シュート生産の大部分に利用される一方,当年の獲得資源はまず地下部へ転流され貯蔵された後,果実へ転流され種子生産に利用された.貯蔵と繁殖との間の資源のトレードオフを回避しながら,種子生産を強光環境下で高い生産性を保つ当年の光合成産物に依存することで,高い繁殖能力を維持している.生育期間中に光環境が激変する初夏咲き植物では,光合成速度も光資源の減少に伴い低下するが葉面積は一定に保たれる.その結果,生育期間後半の炭素固定は制限される.さらに,一斉開葉する種では葉の老化もまた光合成を制限する.このように炭素固定は光環境や葉齢に依存する.花芽形成は春咲き植物と同様に前年に行われるが,果実成長は当年の光合成産物により行われる.これは初夏咲き植物の花生産は,当年の資源獲得状況とは独立におこることを意味している.林内のギャップ形成などにより光環境が改善した際,潜在的には高い種子生産能力を見せる種もあるが,林内において果実への資源投資は制限されるため個体群としての繁殖能力は低い.夏咲き植物は低い光合成能力を持つが,長寿命の葉を順次展葉,蓄積し大きな葉面積を持つことにより,暗環境においても高い炭素固定能力を維持していた.前年の貯蔵資源は初期成長にしか利用されず,葉,花,果実生産はそのほとんどが林冠閉鎖後の当年の光合成産物により行われる.成長や繁殖活動が当年の資源獲得状況に柔軟に対応しながら行われるので,夏咲き植物は安定して高い種子生産を行うことができる.
 冷温帯落葉広葉樹林の林冠木の展葉動態により形成される光環境の季節性は林床植物のソース・シンク関係に作用し,フェノロジカルシンドロームを引き起こす強い選択圧となる.その結果,光環境は大きく異なるが,春咲き植物と夏咲き植物では高い生産性と種子生産能力を持つのに対して,初夏咲き植物の炭素経済は不安定となり種子生産が制限される.

Ida TY, Kudo G. 2008. Timing of canopy closure influences carbon translocation and seed production of an understorey herb, Trillium apetalon (Trilliaceae). Annals of Botany 101(3): 435-446.
Ida TY, Kudo G. 2009. Comparisons of light harvesting and resource allocation strategies between two rhizomatous herbaceous species inhabiting deciduous forests. Journal of Plant Research (in press).
Kudo G, Ida TY, Tani T. 2008. Linkages between phenology, pollination, photosynthesis, and reproduction in deciduous forest understory plants. Ecology 89(2): 321-331.



「冷温帯落葉広葉樹種ハクウンボクの豊作年における繁殖器官への炭素資源分配特性」
 宮崎祐子(奈良県森技セ)、日浦 勉(北大・苫小牧研究林)、船田 良(東京農工大

【はじめに】植物の生活史のなかで、開花および結実といった次世代を残すための繁殖活動は非常に重要な意味を持つ。固着性である植物にとって、個体の適応度を最大にするためには、有限な資源、すなわち栄養分を花や果実といった繁殖器官の生産およびそれらの成熟に対し、効率よく分配する必要がある。繁殖器官の生産およびそれらの成熟に必要な炭素資源のソースには、貯蔵養分と当年の光合成により生産された同化物の両方が考えられる。樹木は肥大成長を行うことにより二次木部が逐次生産および蓄積され、辺材部の柔細胞は養分貯蔵機能を保持する。そのため、樹木の繁殖に対する資源分配を考える際には貯蔵養分の寄与が特に重要であると考えられる。本研究で対象とするハクウンボク(Styrax obassia Sieb. et Zucc.)は開花と結実に強い豊凶がみられるため、豊作年と凶作年とで貯蔵養分の消費には異なる傾向がみられる可能性がある。また、炭素シンクとなる器官の存在によって、近隣の葉の光合成速度が変化することが報告されているため、繁殖器官の有無によって各シュートの葉や貯蔵養分の消費に関する特性が異なることが予想される。そこで本研究では、凶作年および豊作年における貯蔵デンプン量の比較を、主幹とシュートの各部位ごとに貯蔵デンプン量を継続して測定することで行った。また繁殖シュートと非繁殖シュートの貯蔵デンプン量と葉の光合成速度を比較して繁殖器官への資源分配における各シュートの特性も調べた。さらに、当年葉によって同化された光合成産物の果実への転流経路を13Cを用いたトレース実験によって追跡し、繁殖シュートおよび非繁殖シュートにおける繁殖器官に対する資源分配の特性を調べた。
【凶作年および豊作年における貯蔵デンプン量の変化】豊作年と凶作年とで貯蔵デンプンの消費に異なる傾向がみられるかどうかを調べた。測定部位は主幹とシュートとした。さらに繁殖シュートと非繁殖シュートの貯蔵デンプン量を比較して各シュートの特性を調べた。[方法]北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション苫小牧研究林内に生育するハクウンボクのうち、サイズがほぼ等しい成木3個体を選び、各個体のシュートと主幹(胸高部位)1個所の小ブロックを継続して採取した。採取した試料から木口面切片を作成し、ヨウ素・ヨードカリ水溶液でデンプン粒を染色した後、光学顕微鏡で観察を行った。(デンプン粒をもつ細胞数/木部単列放射組織の細胞数)×100(%)を各サンプルごとに算出し、デンプン量の測定値とした。デンプン粒を持つ細胞数は1細胞の面積に占めるデンプン粒の割合が0.5以上のものを1細胞、0.5以下かつ0.25以上のものを0.5細胞、0.25以下のものを0.25細胞として数えた。[結果]主幹および非繁殖シュートにおいて、豊作年と凶作年のデンプン量の季節変化のパターンに差はみられなかった。しかしながら、繁殖シュートと非繁殖シュートのデンプン量を比較すると、繁殖シュートのデンプン量が少なく、特に結実途中では有意な差が認められた。
【開花および結実期における葉の光合成速度の変化】非繁殖シュートと繁殖シュートそれぞれの葉の光合成速度に異なる傾向がみられるかどうか調べた。また、両者の葉の性質を比較するため、葉の面積、乾重量、窒素含量を測定した。[方法]貯蔵デンプン量の調査に用いた3個体で、開花日を基準として開花前、開花途中、結実途中、結実後の繁殖シュートと非繁殖シュートそれぞれの葉における単位面積当たりの光合成速度の測定を行った。光合成の測定を行った際に繁殖シュートと非繁殖シュートからそれぞれ3枚ずつ葉を採取し、葉面積、乾重量、LMA(葉の単位面積あたりの重量)、窒素含量を求めた。[結果]単位質量当たりの光合成速度は開花前と結実後では差は認められなかったが、開花途中や結実途中では有意な差が認められた。個葉面積、LMA、窒素含量は、それぞれ繁殖シュートが非繁殖シュートよりも有意に小さい値を示した。しかしながら、シュートあたりの葉数には繁殖シュートと非繁殖シュートで差は認められなかった。
光合成同化産物の果実への転流-13Cトレース法を用いた追跡-】炭素化合物の移動を検討するため、光合成同化産物の果実への転流経路を炭素安定同位体13Cを用いたトレース実験によって追跡した。[方法]〈実験1〉繁殖シュート(13CO2処理)と隣接する非繁殖シュート、〈実験2〉非繁殖シュート(13CO2処理)と隣接する繁殖シュート、〈実験3〉繁殖シュート(13CO2処理)と隣接する繁殖シュート、の3つの異なる条件でシュートから13CO2を取り込ませた。13CO2処理するシュートは透明のビニール袋で密閉し、大気中のCO2をソーダライムで除去した後13CO2を注入した。8日間放置した後、13CO2処理を行ったシュートとそれに隣接するシュートを直ちに切除し、それぞれ各器官(葉、果実、果実シュート、シュート)ごとに粉砕し、赤外分光法(13CO2アナライザー、EX-130S)を用いて13C atom%を測定した。各器官の13CO2の取り込み量は、自然状態での13C atom%を差し引いた13C atom% excessで示した。[結果]〈実験1〉では13CO2処理した繁殖シュート内の果実が最も高い値を示したが、隣接する非繁殖シュートではほとんど13C atom% excessはみられなかった。〈実験2〉では13CO2処理した非繁殖シュートも13C atom% excessはみられたが、隣接する繁殖シュート内の果実が最も高い値を示した。〈実験3〉では13CO2処理した繁殖シュートの内の果実が最も高い値を示したが、隣接する繁殖シュートでは果実で若干の13C atom% excessが認められた以外はほとんど検出されなかった。
【考察】主幹および非繁殖シュート内の貯蔵デンプンはほとんど消費されなかったのに対し、繁殖シュート内の貯蔵デンプンの多くは消費された。また、ほとんど全ての繁殖シュートが種子生産後には枯死した。このことから、ハクウンボクは繁殖器官の生産に対する資源分配に関して、繁殖シュートは独立して機能している可能性が考えられた。開花および結実期において繁殖シュート内の葉の光合成速度が高かったのは花および果実のシンク力が高まったことによると考えられる。また、ハクウンボクは葉の原基と花芽の原基が同一の芽の中に存在するため、栄養成長と生殖成長とが競合した結果、繁殖シュート内の葉の個葉面積、LMA、窒素含量の低下を招いたと考えられる。実際の炭素資源の移動を13Cを用いたトレース実験によって追跡した結果、繁殖シュート内の葉で同化された炭素はほとんど全て果実へ転流し、さらに、非繁殖シュート内の葉で同化された炭素も大部分が隣接する繁殖シュートの果実へ転流することが明らかになった。このことから、繁殖シュートは繁殖器官に対する資源分配において独立して機能しているのではなく、非繁殖シュートからの炭素資源の補充も行われていると言える。非繁殖シュートは光合成同化産物を果実へ転流させるが、貯蔵デンプン量を維持することでその後の生存を維持すると考えられる。一方、繁殖シュートは貯蔵デンプンおよび光合成同化産物のほとんど全てを繁殖器官の生産に対して消費しさらには枯死してしまう、繁殖に特化したユニットであると考えられる。



「フタバガキ科巨大高木のマスティングのメカニズム」
 市栄智明(高知大学農学部

 東南アジアの低地丘陵フタバガキ林では、2〜10年に1度の不定期な間隔で、群集レベルで同調して開花・結実する「一斉開花」と呼ばれる現象が起こることが知られている。特に、フタバガキ科に代表される熱帯雨林の突出木層を形成する樹種は、開花・結実量の年変動(マスティング)が大きく、一斉開花の年にのみ開花・結実するものが多い。また、これらの樹種は、結実が不定期な上に種子の保存や貯蔵も難しく、このことが在来種を用いた熱帯雨林の生態系修復・再生の大きな障害となっている。演者らはこれまで、東南アジア熱帯雨林の優占種であるフタバガキ科樹種のマスティングのメカニズム、ひいては一斉開花のメカニズムの解明に向け、その至近要因として環境要因とともに重要性が指摘されている樹体内の貯蔵資源量に着目して研究を進めてきた。一般に、土壌が貧栄養だと考えられている低地丘陵フタバガキ林では、樹体内に貯えた貯蔵資源の蓄積具合が、一斉開花への参加を左右する重要な要因の1つになっている可能性がある。この研究では、フタバガキ科巨大高木のマスティングに対する資源利用について、まずその基礎情報として、一斉開花が起こった年のフタバガキ科樹種の樹体内貯蔵資源量の動態や、種子生産に及ぼす当年の光合成生産物の役割を調べた。さらに、次の一斉開花までの貯蔵資源の蓄積過程を調べ、一斉開花への参加の有無に及ぼす貯蔵資源量の影響や、貯蔵資源量と種子生産量との関係についても検討を行った。
 マレーシア・サラワク州のランビル国立公園において、2001年に起こった一斉開花に参加したフタバガキ科の巨大高木Dryobalanops aromaticaについて、樹体からの資源供給を絶つことを目的とした環状剥皮と、葉の光合成生産を制限するための葉の切除を組み合わせた操作実験を試みた。その結果、開花期には環状剥皮が大きな影響を与え、花や種子の脱落を引き起こした。一方、開花終了後の種子成熟期以降については、環状剥皮よりも葉の切除による影響の方が大きく、何も処理をしなかった対象区と比べると、最終的な結実率は葉の切除区でのみ有意に低かった。また、樹体内の貯蔵炭水化物濃度は、開花期には樹冠部の枝からの濃度減少が見られるものの、大量の炭水化物が必要と考えられる種子の成熟過程では、樹体内での炭水化物濃度の低下は見られなかった。これらの結果から、D. aromaticaは、マスティングに必要な炭水化物資源を、その年の光合成産物を主要な供給源として対応していることが考えられた。さらに、炭水化物と同じくマスティング時に大量に必要となる窒素やリンなどの無機塩類についても、開花・結実期間中の樹体内での濃度変化を調べたところ、リンの顕著な濃度減少が確認された。そこで、D. aromatica 30個体(直径30cm以上)について、2002年から2005年の間の樹体内へのリンの蓄積具合と、開花や結実状況を調べた。調査地では、2004年と2005年に小規模な一斉開花が確認されたが、それぞれの年の一斉開花に参加した個体は、開花直前の幹のリン濃度が、開花に参加しなかった個体よりも有意に高かった。また、各個体の結実量と幹のリン濃度の減少量との間には、有意な正の相関関係が見られた。つまり、フタバガキ科の巨大高木D. aromaticaのマスティングには、樹体内へのリンの蓄積が重要で、開花・結実に必要なリンが蓄積できていない状態では、個体レベルではその年の一斉開花には参加できない可能性が示唆された。土壌が貧栄養な熱帯雨林の環境では、特に制限因子となりやすいリンの獲得が、フタバガキ科巨大高木の繁殖に大きな影響を及ぼしているようだ。